卒 業 を 祝 う 
三年担任のことば― 

1組 葛城  2組 三好  3組 志岐  4組 中野  5組 郡山
6組 土井  7組 小淵  8組 重富  9組 中本  10組 沢辺  11組 永田

校長 友永茂男

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   3−7担任 小淵健一

 卒業おめでとう。
 三年前、夢と希望に胸をはずませて西山の旧校舎に入学した皆さんは、はからずも校舎移転という東高の歴史を作りかえる大きな変革期に遭遇し、いろいろと貴重な体験を得たことと思います。
 西山の旧校舎では汚れた薄暗い教室と車の騒音に悩まされながらも、長い間培われた東高の伝統の重みに接することができて何より幸せだったと思います。
 また、山の上の近代的な新校舎に移ってからは、気分一新、新たな情熱を燃やして、新生東高の一歩を築くパイオニアの役割を果たすことになり、皆さんにとっては、生涯に残る高校生活の楽しい思い出となることでしょう。
 これまで、東高においては事あるごとに「自由」という言葉がよく使われて来ましたが、果して皆さんは本当に自由という言葉を理解し、東高の良さというものを身をもって体得できたといえるでしょうか。
 最近、東高は変わったとよく言われます。宿題・添削・補習・模試の連続の高校三年間は全く無味乾燥、ただ大学へのパスポートを得るための予備校としか映らなかったかも知れません。
 これまでの三ケ年間、皆さんとともに過した私自身、いつも皆さんの成績を気にして苦言を述べたり、あるいは皆さんの進路の選択についてさえも相当無理強いした面がなきにしもあらずで、全く心苦しく思っています。
 このように、皆さんを取り巻く環境はあまりにも厳しく、長い間培われた自由な東高という伝統も失われようとしているかに見えます。
 しかし、どんなに揺れ動く環境の中にあっても、物事の本質を自らの眼で見きわめ、いかなる障害も自らの足で乗り越えて行くという意思と信念こそ真の自由といえるのではないでしょうか。
 伝統というものは受け継ぐものであると同時にまた築き上げるものでもあるからです。
 東高を巣立つ皆さん、もう一度東高の良さをかみしめて、これからの人生航路に船出して下さい。きっとプラスになることと思います。
 皆さんの健闘と幸運を心から祈ります。


   『東高新聞』第151号 昭和53年3月29日(水曜日)発行